仮想通貨(ビットコイン)と税金




今年に入って仮想通貨の投資(投機?)熱が盛り上がっていますね。

私も年明けから仮想通貨の売買にトライしており、わずかではありますが利益を得ています。中には数百万円から億単位で利益を得ている方もいるようで羨ましい限りなのですが、一方で、儲かれば儲かるほど「税金」の話がついて回ります。

そこで、今回は仮想通貨取引に係る所得税についてまとめたいと思います。

国税庁が公式見解を公表

2017年9月6日、ビットコイン取引に係る所得税の取り扱いについて、国税庁がタックスアンサーを公表しました。

 ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

引用:No. 1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

大方の予想通り、売買に係る損益は下記の取り扱いとなるという見解となりました。

  • 少なくとも仮想通貨ビットコインを円転又はもの・サービスと交換した時に確定した損益に課税
  • 売買に係る損益は雑所得(一定の場合には事業所得等)

個人的にはこの取り扱いに異論や違和感はありません。

しかし、この内容を取り扱うブログやTwitterをみていると、以下の点について意見が分かれている又は疑問が生じているようです。

  • 仮想通貨同士の交換により発生した損益の取り扱いは?
  • 発生した損益を事業所得にすることができる?

今回のブログでは、上記の2点に焦点をあてて、判例等を交えながら解説をすすめたいと思います。

仮想通貨同士の交換により発生した損益の取り扱いは?

仮想通貨同士の交換とは、具体的にビットコイン⇄アルトコインを指します。

上記のタックスアンサーでは、「ビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)」に対して所得を認識する必要があるとされていますが、この部分を「仮想通貨(ビットコイン)と日本円の交換により生じる損益」と解釈し、「仮想通貨と仮想通貨の交換により生じる損益」については、利益が確定していないため所得を認識する必要がないと考えている人もいるようです。

確かに仮想通貨投資を行っている身としては、円転しない限り、仮想通貨取引により生じた損益はまだ実現していない「含み益/含み損」であると理解したい気持ちは十分にわかるのですが、所得税務上はこのような理解を許してもらえないと考えます。

つまり、ビットコイン⇄アルトコインのような仮想通貨同士の交換により発生する損益も所得を構成すると解されます。

なぜこのような解釈になるのか、この問題に類似する取引について国税庁の質疑応答事例を確認してみましょう。

【照会要旨】

100万円の現金を米ドル(1万ドル)に交換し、その後、この米ドル(1万ドル)を他の外国通貨(8,000ユーロ)に交換した場合、ユーロへの交換時に為替差損益を所得として認識する必要はありますか。

  • 米ドルへの交換時のレート・・・1ドル=100円
  • ユーロへの交換時のレート・・・1ユーロ=150円

【回答要旨】

為替差益を所得として認識する必要があります。

為替差損益は、一般的には異なる通貨の交換(往復)により発生するものですが、照会のように、円から米ドルに交換し、これをユーロ等他の外国通貨に交換した場合であっても、その外国通貨への交換時に、当該外国通貨(ユーロ)の額をその交換時の為替レートにより円換算した金額と当初の円から米ドルへの交換時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)が所得税法第36条《収入金額》の収入すべき金額として実現したと考えられますので、これを所得として認識する必要があります。
・ 為替差益・・・(150円×8,000ユーロ)-100万円=20万円

引用:保有する外国通貨を他の外国通貨に交換した場合の為替差損益の取り扱い

上記は外国通貨の交換についての質疑応答ですが、ドルをユーロに交換した場合に発生した損益を所得として認識する必要があることが明記されています。

これを仮想通貨取引に置き換えた場合、ビットコインをアルトコインに交換した場合に発生した損益を所得として認識するという解釈に決して無理はないと考えます。

したがって、ビットコイン⇄アルトコインのような仮想通貨同士の交換においても、そこで発生する損益については所得を認識する必要があると考えられます。

発生した損益を事業所得にすることができる?

仮想通貨投資を行っている方のブログやTwitterをみていると、「雑所得ではなく事業所得として申告すればいいのではないか」という意見が少なからずあるようです。

しかし、私は安易にこの考えにフォローするのは危険なものと感じました。

では、そもそもなぜ雑所得より事業所得にした方がいいのでしょうか?

事業所得とすることのメリット

雑所得と比べて事業所得には下記のような税制優遇が設けられています。

  • 青色申告特別控除(65万円又は10万円)の適用

事業所得の申告方法には青色申告と白色申告の2種類がありますが、青色申告を選択した上で、国税庁のタックスアンサーにあるように、下記の要件を満たすと青色申告特別控除の適用が認められます。

色申告者に対しては種々の特典がありますが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除があります。

1 65万円の青色申告特別控除

この65万円の控除を受けるための要件は、次のようになっています。

(1) 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。

(2) これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。

(3) (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。

2 10万円の青色申告特別控除

この控除は、上記1の要件に該当しない青色申告者が受けられます。

引用:No.2072 青色申告特別控除

つまり、青色申告を適用することで少なくとも10万円の控除を受けることができ、さらに上記のように、複式簿記による記帳や貸借対照表及び損益計算書の作成が可能なのであれば、65万円の控除を受けることができます。

  • 給与所得等の他の所得と損失の通算(相殺)ができる

雑所得は「総合所得」に分類されますので、他の所得と通算して所得を計算します。つまり、仮に仮想通貨取引により損失が出た場合、給与所得等の他の所得とその損失を相殺できますので、結果的に全体の税金を抑えることができます。

安易な事業所得への区分は危険

事業所得には上記のようなメリットが存在する一方、雑所得にはこれといったメリットはありません。強いて言えば帳簿をつけなくていいことくらいでしょうか。

だったら雑所得ではなく事業所得に区分したいと考えるのは当然ですが、では事業所得と雑所得の違いとはどのようなものなのでしょうか?

国税庁のタックスアンサーによれば、事業所得は下記のように定義されます。

 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。

引用:No. 1350 事業所得課税のしくみ(事業所得)

一方、雑所得は下記のように定義されます。

雑所得とは、他の9種類の所得のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。

引用:No. 1500 雑所得

つまり、仮想通貨取引に起因する所得のうち、仮想通貨取引を事業として営んでいれば事業所得、そうでなければ雑所得と定義できます。

では、「事業として営む」とは具体的には何を指すのでしょうか。

有価証券取引に係る損益の所得区分について争った過去の判例によると、仮想通貨取引が「事業」に該当するためには下記の要件をクリアする必要があります。

一定の具体的取引行為が「事業所得を生ずべき事業」に該当するか否かは、結局一般社会通念に照らし当該取引が事業として行われているか否かによって決せられるべきものであるが、有価証券の売買及び商品先物取引は投機性の強いものであるから、その判断においては、単に当該取引の営利性、有償性、継続性及び反復性の有無のみならず、事業としての客観性の有無が問題とされるべきであり、この観点からは、当然にその取引のための人的・物的設備の有無、資金調達方法、取引に費やした精神的、肉体的労力の程度、その者の職歴、社会的地位などのほか、当該取引によって相当期間継続して安定した収益を得られる可能性があるかどうかについて考察せざるを得ないものというべきである。

引用:国税不服審判所裁決事例集 No. 38-36頁「有価証券の売買及び先物取引により生じた損失を雑所得を生ずべき業務から生じた損失の額と認定した原処分を適法とした事例

少々難解な文章ですが、すなわち「事業」として認められるための要件はつぎのポイントと考えます。

  • 仮想通貨取引が継続、独立、反復して行われていること
  • 仮想通貨取引により生計を立てていること又は生計を立てることを目的としていること
  • 仮想通貨取引に多くの時間及び精神を費やしていること

ここから、例えば平日9時-5時で勤務する会社員が、勤務前後や週末の空いた時間に仮想通貨取引を行う程度ですと、事業所得に該当しない可能性が高いと考えます。たとえ、それにより数千万円の利益を得ていたとしても、日常の多くの時間を本業である会社員として費やしているのであれば、金額の多寡が論点とはなりにくいのではないでしょうか。

一方で、事務所を借り、専用のPCでマインニングなどと並行して、日常の多くの時間を仮想通貨取引に費やしているのであれば、これは事業所得と認定されると考えます。

なお、「個人事業の開業等届出書」を提出したことで、自動的に事業所得と認められるわけではありませんので、その点は注意が必要です。

結局は個々の状況次第

上記の通り、安易に事業所得に区分することに対しては警鐘を鳴らしたいと考えていますが、最終的には事業所得に区分するもしないも個々の責任による判断だと思います。しかし、その判断は、必要な知識を持った上でなされるべきものと考えますので、このブログがその一助になれば幸いです。

また、雑所得として申告する場合、年間の所得が20万円を越えれば確定申告義務が生じる点について、ブログやTwitterなどで「毎年の確定利益を20万円以内に抑えれば税金がかからない」という意見が少なからずありますが、仮想通貨取引に係る損益だけが雑所得の対象ではなく、他の雑所得に該当する所得がある場合には、その所得を合算して20万円の判定を行う必要がある点に注意が必要です。

今年に入ってからの仮想通貨投資ブームから、特に多額の利益を得る投資家に対して、税務当局は確実に目を光らせています。利益の額に比例して、誤った申告をした場合のペナルティも増加してしまいますので、正しい申告を行うことを心がけましょう。

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