コインチェックのNEM流出問題 税金はどうなる?




仮想通貨に関する今年最大のニュースはコインチェックのNEM流出問題でしょう。コインチェックは被害額を日本円で補償する方針を打ち出していますが、返済原資に疑義があるとされており、また、金融庁による立入検査が行われるなど、その補償はまだ確定したものといえないでしょう。

その中で、先日、日経新聞でも次のような記事が出ているように、仮に補償がされた場合の、その補償金の税金の取り扱いは非常にきになるところです。そこで今回の記事では、NEM流出に関して、仮にコインチェックからの日本円による補償が行われた場合の、その補償金にに関する個人所得税務上の取り扱いについて検証したいと思います。

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考えられるシナリオは次の3つか

検討されるシナリオは次の3つと考えます。

  • 仮想通貨取引に関する収入として雑所得
  • 偶発的な収入として一時所得
  • 損害賠償金として非課税所得

コインチェックによる補償が確定していない現状では、このような検証も時期尚早かもしれませんが、税務上の考え方を整理する意味でも、いくつかのシナリオに分けて解説します。

仮想通貨取引に関する収入として雑所得

個人的にはこの取り扱いになる可能性が高いと考えます。この場合、コインチェックは1XEMにつき約88円を補償するとしていますので、補償金の受領時にその受領金額(1XEM=88円)をもって流出したNEMを売却したものとみなすと考えるのが相当です。仮に流出時に100,000XEMを保有しており、その保有NEMの取得価額が1XEMあたり38円であった場合、5,000,000円((88円-38円)*100,000XEM)が雑所得の金額となります。

偶発的な収入として一時所得

一時所得とは次のような所得をいいます。

一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。この所得には、次のようなものがあります。

  1. 懸賞や福引きの賞金品
  2. 競馬や競輪の払戻金
  3. 生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等
  4. 法人から贈与された金品
  5. 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等

出所:国税庁タックスアンサー「No. 1490 一時所得

このように、偶発的で対価性がない収入は一時所得に分類されます。NEM流出に伴うコインチェックからの補償金は偶発的な収入であり、あくまでも補償として対価性を有するとは言い難いため、一時所得に該当する可能性があると考えられます。

一時所得の計算式は下記の通りです。所得税額の計算時にはこれに1/2を乗じた金額が総所得金額に加算されるため、雑所得に比べると税負担は大きく減ることとなります。

総収入金額 – 収入を得るために支出した金額 – 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額

例えば、上記例の場合、2,250,000円(((88円-38円)*100,000XEM-500,000円)*1/2)が総所得金額に加算される一時所得の金額となります。

損害賠償金として非課税所得

所得税法上、「心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に起因して取得するもの」は非課税とされています。上記の日経新聞の記事にもあるように、類似例としてライブドア粉飾決算事件のケースが引き合いに出されます。

専門家が例として挙げるのは、ライブドア粉飾決算事件のケース。有価証券報告書の虚偽記載で株価が急落して損害を受けたとして、株主らが同社などに賠償を請求。同社が賠償金を支払った。税務当局はこれを一時所得だとして課税したが、不服だとした受け取り側が訴訟を起こした。13年に、損害賠償金は「不法行為による損害を回復させるもので、利得をもたらすものではなく非課税」とする判決が確定し、国税当局が課税処分の取り消しに応じた。

出典:2018年2月1日付日本経済新聞「コインチェック返金は課税?非課税? 専門家も悩む

これ同様に、コインチェックからの補償金は、流出により生じた損害を回復させるものとして非課税所得として取り扱われる可能性があります。

この場合、補償金としての収入を所得に計上しない以上、流出したNEMに関する取得価額(必要経費)を計上することは認められないと考えるため、流出したNEMに対する税務上の手当ては生じない、もしくは雑損控除の適用が検討されます。

したがって、計上される所得の金額は0となります。

まとめ

今回はコインチェックからの補償金の税務上の取り扱いを検証しました。個人的な見解としては、最初に記載したように、補償金をもって仮想通貨に関する収入として取り扱う、すなわち雑所得になると考えますが、世間の関心や影響額も大きいことから、来年の確定申告の時期までには国税庁から何らかの方針が打ち出されるのではないでしょうか。

今回紹介したシナリオ以外にも、雑損控除の適用など、他に検討される論点がありますので、これはまた別の記事にて紹介したいと思います。

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