2017年は仮想通貨投資が盛り上がった一年でしたが、2018年を迎え、新たに一から投資を始めようと考えている方も多いのではないでしょうか。
税金に関係するところでは、2017年に個人型確定拠出年金(iDeCo)の拡充、2018年には積立NISAの導入など、税制の整備により個人投資を促進する動きが確認できます。
私は数年前から積立型投資信託をメインに資産形成に取り組んできましたが、長期間の投資では割引率(利回り)と資産形成にかけた年数の掛け合わせが、資産形成に大きな効果をもたらします。今回はお金の時間的価値の考え方を紹介するとともに、これから投資を始める人への参考として、仮に10年前に100万円を原資に投資を始めた場合、今いくらになっているかを2回の記事にわたって検証したいと思います。
お金の価値は時間で変わる!
割引率の考え方
お金の価値は常に一定とは限りません。ファイナンスの考え方によれば、今のお金と将来のお金では明確に価値が異なり、今のお金の方が将来のお金よりも価値があると考えます。
これを説明するためにはいくつかのアプローチが用いられますが、ここでは「割引現在価値」の考え方で説明します。
例えば「今10,000円をもらえる権利」と「一年後に10,000円をもらえる権利」のどちらかを選択できる場合、どちらを選択するべきでしょうか?経済的合理性を追求する場合、上にも書いた様に「今10,000円をもらえる権利」を選択するべきと考えられます。今10,000円をもらった場合、それを銀行に預けることで利息を受け取ることができ、例えば一年後には10,000円が10,100円になる可能性があるためです。
仮に10,000円の運用先が銀行への普通預金のみで、その年利が1%の場合、この例では「今10,000円をもらえる権利」と「一年後に10,100円をもらえる権利」が等価関係を有することとなります。この将来の10,100円を現在の価値に割り引いた10,000円が割引現在価値、100円(10,100円-10,000円)を10,000円で割った1%が割引率となります。
では「今10,000円をもらえる権利」と「一年後に10,000円をもらえる権利」の場合、「今10,000円をもらえる権利」を選択すべきことを理解したとして、一年後にいくらもらえるなら「一年後に○○円をもらえる権利」を選択するべきなのでしょうか?
A:今10,000円をもらえる権利
B:一年後に○○円をもらえる権利
例えば、一年後に1億円ををもらえるなら、Bを選ぶ人がほとんででしょう。一方で10,001円しかもらえないのであればAを選ぶ人が多いのではないでしょうか。この○○円に入る数字に正解はなく、個々人で答えは異なりますが、このAとBがイコールになるポイントによって、その人の割引率、すなわちお金の時間的価値観を判断できます。
Bのポイントを11,000円と考える人の割引率は10%であり、平たく言えば年間10%のパフォーマンスでお金を増やすことができると考えていて、一方でBのポイントを20,000円と考える人はの割引率は100%であり、一年間でお金を2倍に増やすことができると考えているといえます。
現実社会では割引率100%を達成するためには、大きなリスクをとらざるを得ず、また割引率10%でさえ、非常に優秀な数字と言えるのではないでしょうか。
期間の考え方
上に説明した割引率に加え、資産形成に大きなインパクトを与えるのが期間の最大化です。例えば、割引率10%の場合、今の10,000円は一年後に11,000円になることが分かりましたが、さらに年数を重ねるとどうなるでしょうか。例えば、割引率10%で十年後まで計算を続けた場合、下表のとおり、今の10,000円は十年後には23,579円まで増加します。
年数 | 現在価値 |
1 | 10,000 |
2 | 11,000 |
3 | 12,100 |
4 | 13,310 |
5 | 14,641 |
6 | 16,105 |
7 | 17,716 |
8 | 19,487 |
9 | 21,436 |
10 | 23,579 |
これは、複利計算による効果で、元手が利息を生み、その元手と利息がさらなる利息を生むという循環を作ることできます。つまり、時間をかければかけるほど大きな資産形成につなげることができる可能性が増加します。「雪だるま式に借金が膨らむ」といった表現を聞いたことがある方もいると思いますが、これも同様に複利計算の効果によって、少ない元本が月日を経過することで非常に大きな債務に膨れ上がる可能性があることを表したものです。
例えば、上記の計算例は割引率10%を使用していますが、7年目に19,487円とおおよそ元本の2倍になっていることがわかります、例えばこの割引率を7%で計算すると、10年目に元本がおおよそ2倍になりますので、ラフに数時の感覚を把握するのであれば「10%=7年、7%=10年」で資産が2倍になると捉えるのがいいと思います。
まとめ
今回の記事では、割引現在価値の考え方を中心に、割引率と期間の考え方を紹介しました。投資にあたり資産を最大化するためには、この割引率(=利回り)と期間を共に最大化することが非常に重要ですが、これらを最大化するにも投資手法は様々あり、画一的な正解というものは存在しません。また、利回りをを追求すると必ずリスクが付いて回り、一概に利回りが良い投資案件が正義ということもないと考えます。また、未来は不確実であるため、投資において将来起こりうる事象は定かではなく、特に投資案件の将来の利回りは誰にも分かりません。
しかし、過去に起きた事象から未来の不確実に備えることは可能であると考えます。そこで、次回の記事では、具体的な計算を交えながら、もし仮に10年前に100万円を原資に投資を始めていたら今いくらになっているのか?という具体的な検証を行いたいと思います。
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