2019年10月の消費税増税に伴い、経済対策としてキャッシュレス決済への5%ポイント還元が導入されることは既報のとおりです。
政府・与党は、2019年(平成31年)度税制改正大綱の公表を控え、コンビニエンスストアや外食などの大手チェーンについては、ポイント還元率を2%とすることで検討に入りました。
今回のブログでは、ポイント還元率の違いと予想される問題点について解説します。
大手チェーンは2%のポイント還元
今回検討されているのは、大手チェーンにおけるキャッシュレス決済に対して、2%のポイントを還元する案です。
前回の報道によれば、ポイント還元は、①中小・小規模事業者での買い物に限ること、②ポイント還元率は5%であること、とされていましたが、今回の報道により、大手チェーンでの買い物に対し2%のポイントを還元することが明らかとなりました。
ここにいう大手チェーンとは、例えばセブンイレブンなどのコンビニエンスストアやマクドナルドなどの外食チェーンを指します。
予想される問題点は?
今回の報道により、キャッシュレス決済によるポイント還元は、次の2種類が混在することが明らかになりました。
- 中小・小規模事業者でのキャッシュレス決済における5%ポイント還元
- 大手チェーンでのキャッシュレス決済における2%ポイント還元
このように2種類の異なる還元率が設定される場合、特に大手チェーンでのポイント還元事務について混乱が生じることが予想されます。
コンビニエンスストアや外食チェーンは、通常、①直営店と②フランチャイズ店の2種類が混在します。
直営店は、例えばセブンイレブン本社が運営する店舗である一方、フランチャイズ店は、個人事業主や小規模法人が運営する店舗となります。
この場合、原則的には、直営店は大手チェーンに該当するため2%のポイント還元となり、フランチャイズ店は小規模法人等に該当するため5%とポイント還元となります。
つまり、見た目は全く同じセブンイレブンでも、その店が直営店かフランチャイズ店かでポイント還元率が異なることとなるのです。
当然、消費者はそのセブンイレブンが直営店かフランチャイズ店かは判別できませんが、仮にその店舗の種類を判別できる場合、当然、ポイント還元率の高いフランチャイズ店で買い物をすることとなるでしょう。
しかし、現実的に考えて、同じセブンイレブンでポイント還元率が異なるといった運営が行われる可能性は低く、ポイント還元率をそろえるため、還元率の差である直営店のポイント3%分は、本社が負担することが予想されます。
つまり、直営店におけるキャッシュレス決済では、セブンイレブン本社が3%のポイントを負担、すなわち追加費用が発生するのです。
消費者としては、5%のポイント還元率で統一されるので利便性が高いものの、一方で会社に一定額の負担が生じるような結果となりそうです。
まとめ
今回は、大手チェーンにも導入されるキャッシュレス決済によるポイント還元とその問題点について解説しました。
税制改正大綱の公表後、詳細が明らかになり次第、続報をお届けしたいと思います。
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