延期に次ぐ延期により、このところあまり話題になっていませんが、2019年10月1日より消費税率が現行の8%から10%に引き上げられます。
消費者の購買活動のうち、消費税増税の影響を最も受けやすいのが住宅と考えられますが、一般的には、増税前に住宅を購入することで、支払額を抑えることができると理解されています。
しかし、一概に2019年9月30日までに住宅を購入すればいいというわけではなく、その契約や引き渡しのタイミングが重要になります。
今回は、消費税増税が住宅価格に与える影響と、住宅購入を考えている方が考慮すべき他の要素について解説します。
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Contents
消費税増税のスケジュールは?
あらためて消費税の増税スケジュールを確認しましょう。
現在のところ、2019年10月1日に現行の8%から10%への増税が予定されています。しかしながら、過去2回も増税の予定が延期されているので、今後のスケジュールも流動的である可能性があります。
住宅購入への影響は?
2019年10月1日から消費税が増税されるとして、いつまでに住宅を購入すれば増税の影響を回避できるのでしょうか?
このように取り扱いはマンションと注文住宅で異なります。
マンションの場合
マンションであれば、2019年9月30日までに引き渡しを受けた場合に8%の消費税率が適用されます。なお引き渡しとは、所有権の移転を指しますが、具体的には、以下の行為などをもって引き渡しとされます。
- 登記の実行
- 鍵の受け渡し
- 残代金の支払い
注文住宅の場合
注文住宅であれば、原則として、2019年9月30日までに引き渡しを受けた場合に8%の消費税率が適用されます。また、注文住宅の場合、引き渡しの時期に不確実性が生じやすいことから、例外として、2019年3月31日までに工事請負契約を締結した場合でも、8%の消費税率が適用されます。
なお、通常、住宅購入を検討してから工事請負契約に至るまでに半年から1年程度を要しますので、消費税増税の影響を回避したいのであれば、今すぐにでも動き始める可能性がありますね。
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このように、原則としては2019年9月30日までの引き渡し、注文住宅については、2019年9月30日までの引き渡しに加え、2019年3月31日までの売買契約締結により、消費税増税の影響を回避することができます。
住宅にかかる消費税
ひとえに「住宅」といっても、その住宅価格すべてに消費税が課税されるわけではありません。住宅購入にかかる一定の費用は消費税が非課税または不課税とされています。
消費税がかかる費用のうち、特に「建物」「外装・内装・設備」「家具・家電」の影響額が大きいと考えられます。
仮にこれらの費用の合計額を3,000万円程度と見込む場合、消費税率8%と10%では、60万円程度の差が生じることとなります。
消費税増税よりも深刻?金利の上昇リスク
住宅の購入にかかせないのが住宅ローンです。一般的に住宅ローンは35年と返済が長期にわたるため、金利の変動に伴い、将来の負担額が大きく変動します。
住宅ローンの金利(固定金利)は、10年もの国債金利を連動します。現在の超低金利を鑑みると、今後さらに金利が下がることは考えにくく、緩やかな金利の上昇が見込まれています。
(出典:日本相互証券株式会社「長期金利推移グラフ」)
仮に10年もの国債金利が上昇した場合、それに伴って住宅ローン金利が上昇することが見込まれます。
仮に0.5%金利が上昇した場合、4,000万円の元本に対して、35年で300万円以上の金利差が生じます。
消費税の増税と金利の上昇に直接的な因果関係はないと考えられますが、現在の超低金利水準を考えると、今後の金利上昇の可能性は無視できません。
住宅ローン減税拡充の可能性
現行の税制では、2021年入居分をもって住宅ローン減税は終了します。しかしながら、今後の住宅需要や景気に大きな影響を与える税制であることから、期間が延長される可能性が高いと考えられます。
(出典:国税庁「住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」)
さらに、消費税増税後の需要減および2020年の東京オリンピック後の需要減を懸念する声もあがっていることから、現行の控除期間は10年であるところ、これを延長されるという案も浮上しているようです。
仮に住宅ローン減税が延長および拡大される場合、あえて入居年を遅らせる方が、高い節税効果を期待できる可能性があります。
まとめ
以上、消費税増税による住宅購入への影響について解説しました。
1997年に消費税が3%から5%に増税されたときは、住宅の駆け込み需要が話題になったと記憶しています。
しかしながら、特に土地が消費税の非課税とされていることから、消費税増税の影響はそれほど大きくなく、現在の日本経済の状況を鑑みると、むしろ金利の上昇リスクや住宅ローン減税の拡大の状況に合わせて、住宅購入の判断を行うべきでしょう。増税前の駆け込み購入は、逆に経済的合理性に欠く選択となる可能性があります。
金利および住宅ローン減税ともに、日本経済や政策に左右される部分もありますので、近い将来住宅購入を考えている方は、今後の状況を注視する必要があります。
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