2019年10月の消費税増税を控え、軽減税率の導入やポイント還元などの施策取り入れが議論になっています。
時事通信の報道によれば、政府は消費税増税による景気停滞を危惧してか、9つもの対策を平成31年度(2019年度)税制改正大綱に盛り込むことを示唆しています。
今回のブログでは、政府が公表している9つの対策を概観します。
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政府の消費税増税対策
2019年11月26日に開催された「経済財政諮問会議・未来投資会議・まち・ひと・しごと創生会議・規制改革推進会議 合同会議」において、消費税引上げに伴う対応として、次の内容が議論されました。
消費税率については、法律で定められたとおり、平成31年10月1日に現行の8%から10%に2%引き上げる予定である。5年半に及ぶアベノミクスの推進により、生産年齢人口が450万人減少する中においても、経済は11.6%成長した。雇用は250万人増え、正規雇用も78万人増えた。今こそ、少子高齢化という国難に正面から取り組まなければならない。お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと、大きく転換し、同時に財政健全化も確実に進める。前回の3%引上げの経験を活かし、あらゆる施策を総動員し、経済に影響を及ぼさないよう、全力で対応する。その際、①臨時・特別の措置を講ずる2019・2020年度予算を通じて、各措置の規模・実施時期をバランスよく組み合わせ、全体としての財政規律を堅持するとともに、②各措置の目的を明確にし、③未来及び経済構造改革に資する観点も十分踏まえて対応する。
(出典:経済財政諮問会議・未来投資会議・まち・ひと・しごと創生会議・規制改革推進会議 合同会議「経済政策の方向性に関する中間整理」)
具体的な施策としては、次の9つの内容が挙げられています。
1. 幼児教育無償化の10月1日実施、年金生活者支援給付金の支給等
- 2019年10月より、3歳から5歳までの全ての子供たちの幼稚園、保育所、認定こども園等の費用を無償化する
- 低年金の高齢者に対し、年金生活者支援給付金の支給を行う
2. 税率制度の実施
- 2019年10月1日の消費税率の10%への引上げに当たって、低所得者に配慮する観点から、軽減税率制度を実施する
3. 低所得者・子育て世帯向けプレミアム商品券
- 低所得者・子育て世帯(0~2歳児)に対し、2019年10月から一定期間に限り使用できるプレミアム付き商品券を発行・販売する
- 使用対象区域は当該市区町村とし、商品券を使用できる対象企業は制限しないことを基本とする方向で検討する
4. 耐久消費財(自動車・住宅)の購入者に対する税制・予算措置
- 自動車については、2019年10月1日以降に購入する自動車の保有に係る税負担の軽減について検討を行う
- 住宅については、消費税率引上げ後の住宅の購入等にメリットが出るよう、税制上の措置について検討を行う
- 住宅ローン減税の効果が限定的な所得層を対象とするすまい給付金について、2019年10月以降、既定の方針に沿って、対象となる所得階層を拡充するとともに、給付額を最大30万円から50万円に引き上げる
- あわせて、一定の省エネ性、耐震性、バリアフリー性能を満たす住宅や家事・介護負担の軽減に資する住宅の新築やリフォームに対し、一定期間に限ってポイントを付与することについて、年末に向けて検討する
5. 消費税率の引上げに伴う柔軟な価格設定(ガイドライン)
- 欧州諸国に倣い、消費税率引上げ前後において、事業者のそれぞれの判断によって柔軟な価格設定が行えるようガイドラインを整備する
- ガイドラインの整備とあわせ、中小小売業に関する消費者へのポイント還元に対し支援を行う
6. 中小小売業に関する消費者へのポイント還元支援
- 需要平準化を図るとともに、キャッシュレス化を推進するため、経営資源が少ない中小・小規模事業者向けに、消費税引上げ後の一定期間に限り、ポイント還元支援を行う
7. マイナンバーカードを活用したプレミアムポイント
- 駆け込み・反動減に対応して、中小小売業に関する消費者へのポイント還元支援策などを集中的に実施した後、一定期間の措置として、マイキープラットフォームを活用したプレミアムポイント付与に対する支援を検討する
- 実施に向けて、マイナンバーカードの普及を一層促進するとともに、自治体によるマイキープラットフォームの活用を促すなど、必要な環境整備を促進する
8. 商店街活性化
- インバウンドや観光といった新たな需要の取り込みや、商店街の集客力向上に向けた商店街の取組に対し、効果的な支援を行う
9. 防災・減災、国土強靭化対策
- 「臨時・特別の措置」を活用して実施する緊急対策を含めた公共投資によりマクロの需要創出を図るとともに、全体の適切な執行を通じ、消費税率の引上げに伴う駆け込み需要・反動減といった経済変動を可能な限り抑制する
特に重要な施策は?
特に気になるのは「2. 税率制度の実施」「3. 低所得者・子育て世帯向けプレミアム商品券」「4. 耐久消費財(自動車・住宅)の購入者に対する税制・予算措置」「6. 中小小売業に関する消費者へのポイント還元支援」あたりでしょうか。
「2. 税率制度の実施」はコチラの記事でも詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。
他の施策についても、個別記事で詳しく解説することを予定していますので、また適宜アップデートしたいと思います。
まとめ
今回は、政府の消費税増税対策として掲げられている9つの施策について概観しました。我々消費者の生活に直結するものから、事業者への配慮の観点から取り入れられるものまで、その内容は多岐にわたります。
特に、軽減税率の実施、プレミアム商品券、ポイント還元など耳障りのいいキーワードが並んでいますが、具体的な施策については、引き続き注視する必要があると考えられます。
当ブログでも、適宜アップデートして有用な情報を発信していきたいと思います。
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