スマホでできる確定申告サービスを徹底比較!2019年はどのサービスが便利?




2019年2月18日より、2019年(2018年分)の確定申告の受付が開始されました。

2018年は副業元年とも言われ、副業収入の増加により、確定申告対象者の数も増加が見込まれています。

日本では、企業に年末調整が義務付けられていることから、労働人口の大半を占める給与所得者は基本的に確定申告をする必要がありません。

ただし、一定額の副業収入がある場合などは、確定申告が義務付けられているため、今年が初めての確定申告という方も少なくないのではないでしょうか。

以前では、確定申告は税理士に外注するものという認識の方も多かったのですが、最近はインターネット等で情報を簡単に取得できることから、自身で確定申告書を作成するという方も増えてきた印象があります。

そんな中、昨今のIT化の流れを受けて、今年からスマートフォンで確定申告ができるようになりました。

スマホ × 確定申告 スマート申告始まります!

しかし、国のシステムならではの使いにくさや、対象者が限定されすぎていることなどの問題点が一部から指摘されています。

そこで今回は、スマホで確定申告をする場合の注意点に加え、民間企業が提供する「スマホ × 確定申告」のサービスについて徹底比較したいと思います。

スマホで確定申告とは

2019年(2018年分)より、確定申告書の作成及び提出をスマホで作成・提出できるようになりました。

(出典:国税庁「いつでもどこでもスマホで申告」)

具体的な作成手順等は下記の国税庁のリンクより確認することができます。

スマホ × 確定申告 スマート申告始まります!

スマホ確定申告を行う場合、次のようなメリットが考えられます。

  • 確定申告書を印刷・押印する手間が省ける
  • 確定申告書を税務署に持参又は郵送する手間及びコストが省ける
  • 場所を選ばず確定申告書を作成できる

特に、確定申告書を税務署に持参又は郵送する手間が省けるのが最大のメリットと考えられますね。

このように、一見すると便利になったようにも思えるのですが、スマホ確定申告を検討されている方は以下の点に留意が必要です。

対応する所得や控除が非常に限定的

スマホから国税庁の確定申告書作成コーナーへアクセスし、「作成開始」ボタンを押すことで確定申告書の申告を開始することができます。

平成30年分 確定申告書作成コーナー

すると「申告内容に関する質問」への回答を求められるのですが、次の質問をすべてクリアしない限り、スマホでの確定申告書作成が制限され、PC版への使用を促されてしまいます。

  • 確定申告をする年分は平成30年分である
  • 給与以外に申告する収入がない
  • 源泉徴収票は1枚のみである
  • 勤務先で年末調整が済んでいる
  • 医療費控除や寄附金控除の適用を受ける
  • 医療費控除や寄附金控除のほかに、確定申告で追加する控除や年末調整の内容に変更がない

繰り返しとなりますが、これらの質問のすべてに該当する方だけが、スマホで確定申告をすることができます。

つまり、上記のうちどれか一つでも当てはまらない場合は、スマホ確定申告をすることができません。

具体的には次のような方は、今年の確定申告に関してはスマホ確定申告をあきらめる必要があります。

  • 副業収入がある方
  • 事業所得や不動産所得などがある方
  • 投資所得がある方
  • 住宅ローン減税初年度の方

そもそも年末調整により、多くの給与所得者は確定申告をする必要がありませんが、裏を返せば、確定申告をする人の大半は上記のいずれかに当てはまるような人たちです。つまり、「スマホで確定申告」と謳いながらも、実際にスマホ確定申告の対象となる納税者は、非常に限られることとなります。

一方で、次のような方については、スマホ確定申告を検討してみてもいいかもしれません。

  • 給与収入のみで、その給与収入が2,000万円を超える方
  • 給与収入のみで、医療費控除や寄附金控除(ふるさと納税)の適用を受ける方

電子申告にはIDとパスワードが必要

仮にスマホ確定申告の対象になったとして、確定申告書の提出は、①書面で提出、②e-taxで電子提出の2通りの方法があります。

①書面で印刷の場合、スマホで作成した確定申告書を印刷し、税務署に持参又は郵送することとなりますが、これではスマホで確定申告書を作成する意味があまりないですよね。

スマホの利便性を生かすのであれば、②e-taxで電子提出を検討すべきですが、e-taxを利用するのにIDとパスワードが求められる点に留意が必要です。

これだけなら大きな不便ではありませんが、このIDとパスワードを取得するためには、一度税務署に行き、本人確認書類を提出する必要があります。

つまり、電子提出をするために、一度税務署に行くという、なんとも二度手間な行為しないといけないのです。

ここは改善の余地があるように思いますが、念のため、一度取得したIDとパスワードは来年以降も使用できますし、すでにIDとパスワードを持っている方はそれを使用することができます。

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このように、スマホ確定申告は、対象者が限定される点と電子提出に手間がかかる点で、決して多くの納税者にメリットがあるものではありません。

ただし、今年はあくまでもスマホ確定申告の元年ですので、来年以降の改善が待たれるところでもあります。




民間企業のスマホ確定申告サービスを比較

国税庁のスマホ確定申告サービスは対象者が非常に限定されていることが分かりましたが、民間企業が提供しているサービスはどうようばものがあるのでしょうか。

スマホ確定申告はまだまだメジャーでないため、サービスを提供している企業も多くはありませんが、私の独断で選定した次の2つの企業が提供するサービスを比較してみたいと思います。

  • Freee
  • PwC税理士法人
注意
あくまでもスマホで確定申告書を「作成する」サービスを提供している企業となります。いずれのサービスも確定申告書の電子提出は含まれませんのでご注意ください。

Freee

いわずとしれたクラウド会計ソフトの最大手ですね。多くの個人事業主の方が、Freeeを利用しているイメージがあります。

Freeeでは、自社サービスの「会計Freee」を利用しているユーザーに限り、スマホアプリで確定申告書を作成するサービスを提供しています。

Freee – 確定申告ソフト

PwC税理士法人

世界4大会計事務所の一角である大手税理士法人です。

マーケティングがイマイチなのか、あまり知られていないのですが、2018年11月にスマートフォン用のアプリ「Tap Tax」をリリースしています。

アプリについて – Tap Tax

それぞれのサービスを比較してみよう

これらのアプリについて、サービスの範囲やコスト、想定ユーザーなどの気になる項目を比較してみました。結果は下表のとおりです。(参考までに国税庁の提供サービスも記載しています)

上表のとおり、それぞれのサービスに特徴があることが分かりますね。

Freeeでは、作成できる申告書の内容に制限がない一方で、費用が月額980円とやや高額です。ただし、これには確定申告書の作成だけではなく、「会計Freee」のサービスも含まれる点に留意が必要です。

したがって、普段からFreeeを利用しているフリーランスや不動産オーナーにとっては、会計データとの連動の観点から、Freeeが最も優れていると考えます。

PwC税理士法人のTap Taxでは、所得や所得控除の種類について幅広く対応している一方、事業所得には対応していません。費用については、申告年度あたり500円と比較的安価に設定されています。

したがって、副業収入や投資所得がある方については、PwC税理士法人のTap Taxがお勧めできると考えられます。

例えば医療費控除のためだけにFreeeを使うのは費用の観点からお勧めできませんし、一方で事業所得がある方はFreee一択となります。

このように、それぞれのサービス範囲や費用が異なることから、自身の確定申告内容から、どのサービスを利用するかを選択するのが良いのではないでしょうか。

冒頭の話に戻り、副業収入により確定申告義務が生じた方に関しては、個人的にはPwC税理士法人のTap Taxが推奨されると考えます。

そもそもスマホで確定申告をする意味とは

ここまで、スマホで確定申告をすることを前提に、国税庁や民間企業のサービスについて紹介しましたが、そもそも確定申告をスマホで行う理由はあるのでしょうか。

当然、スマホで確定申告が完結するのであれば、利便性という観点で十分に意義があるのですが、一方で、上述した通り、現時点ではスマホで確定申告を完結させようとすると、国税庁のe-taxを使う必要があります。

つまり、国税庁のサービス対象者(給与収入2,000万円超や医療費控除のみ)以外の納税者は、結局その確定申告を印刷し、税務署に持参又は郵送する必要があります。

これではスマホで確定申告書を作成する優位性はあまりなく、作業の正確性等を考えると、むしろ従来通りPCを使う方がいいと考えます。

したがって、2019年の時点では、国税庁のサービス対象者以外の納税者は、スマホで確定申告書を作成する意味は乏しいのではないでしょうか。

一方で、繰り返しとなりますが、今年はスマホ確定申告の元年でもありますので、来年以降、行政及び民間サービスの向上が期待されます。

もし、来年以降、スマホ経由の電子提出が一般的になるのであれば、スマホで確定申告を行う意義も十分にあるのではないかと思います。

まとめ

以上、スマホ確定申告についての現状と民間サービスについて紹介しました。

それぞれのサービスに特徴があるので、スマホで確定申告を行いたいという方については、ご自身の状況に応じてサービスを選択されるのが良いかと思います。

2019年の時点では、スマホ確定申告の利便性は乏しいと言わざるを得ませんが、まだまだサービスは始まったばかりですので、来年以降の改善に期待がされるところです。

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税金に関する時事ネタや個人の資産形成などを中心に、英語やExcelを利用した仕事術、たまに仮想通貨について記事を更新しています。